NPO法人築地居留地研究会 ホームへ戻る


  研究報告会・イベントスケジュール
第17回 外国人居留地研究会全国大会 in築地2025
・日 時: 2025年11月1日(土) ・2日(日)

・テーマ:外国人居留地における「医療と福祉」

・会 場: 聖路加国際大学 大村進・美枝子記念聖路加臨床学術センター
     東京都中央区築地 3-6-2

・主 催: NPO法人築地居留地研究会

・参 加:一般公開 参加費無料 予約不要


1日目 11月1日(土)

・13:00~ 主催者/来賓の挨拶
・13:15~ 基調講演:「社会保障制度と日本社会の持続可能性」 清家篤(日本赤十字社社長)
・13:45~ 各居留地発表  新潟、横浜、川口、神戸、函館、長崎
・16:05~ 特別講演:「居留地からみた日本の医学の近代化と医療宣教師」
      藤本大士ハイデルベルク大学トランスカルチュラル・スタディーズ・センター講師
・16:45~ まとめ/閉会
・17:00~ ミニコンサート
・18:00~ 懇親会(予約制) ホテル京阪築地銀座グランデ

2日目 11月2日(日)
・9:50~ エスカーション(予約制)
     ミズノプリンティングミュージアム → トイスラー記念館 居留地跡地


お問合せ・申込先: NPO法人築地居留地研究会 事務局 村山(ミズノプリテック㈱ 内)
          TEL: 03-3551-7595 e-mail : murayama@mizunopritech.co.jp




2025年 築地居留地研究会・年間スケジュール

 2025年の年間スケジュール表です。
 (2025年7月5日更新)
<クリックで拡大します>

研究報告会
・日 時: 2025年 9月27日(土) 14:00~16:00

・場 所: カトリック築地教会 2階 ホール
     東京都中央区明石町5-26

・テーマ: 「長谷川武次郎のちりめん本「日本昔噺」シリーズ
      ― 米国人宣教師デイビッド・タムソンの貢献を中心に」

・講 師: 尾崎 るみ 氏
     白百合女子大学児童文化研究センター研究員
     元白百合女子大学他講師

定刻となり薮純夫事務局長の司会で研究会をスタート。
明治18(1875)年、長谷川武次郎はそれまでにない類の書物を刊行した。日本橋で生まれた彼は、築地居留地でカロザース夫妻から英語を学び、後にデイビッド・タムソンから受洗した。
草双紙でお馴染みの昔話を英仏独語などに翻訳し、美しい挿絵を添えて出版するという斬新な企画を思い立ち、実行に移した。まず、タムソンが6つの昔話を平易な英語に訳出、フランス語とドイツ語にも重訳され、小林永濯という優れた絵師による精緻で魅力的な挿絵を添えた欧文昔噺絵本は注目を集めた。
和紙による和綴じ本でありながら本文は活版印刷による外国語であり、挿絵は木版印刷による多色刷という新旧の技術を駆使した欧文挿絵本は画期的な出版物だった。その後、「縮緬紙(ちりめんがみ)」版を導入して人気を博したため、これらの本は、〈ちりめん本〉として知られるようになった。
今回はタムソンの貢献を中心にご講演をいただいた。
講演に先立って、本研究会の水野雅生理事長から挨拶と説明があった。
<写真クリックで拡大します>   

水野理事長の挨拶

尾崎るみ氏を紹介する中島理事

講演中の尾崎るみ氏

講演中の尾崎るみ氏

講演会場風景

(尾崎 るみ氏提示のスライド資料より)

今回、尾崎るみ氏にご講演いただいた「ちりめん本」は1800年代に世界に向けて出版されたものであり、それぞれの題材は「日本の昔話」である。
それが英語をはじめフランス語、スペイン語、ドイツ語、ポルトガル語、スウェーデン語、デンマーク語、オランダ語、イタリア語、ロシア語と多くの外国語に翻訳され、日本の文化を広く紹介されたものである。
諸外国の人々はこの「ちりめん本」を見て日本という国に対する興味を示したであろうことは間違いないであろうし、また、この翻訳された内容は外国語を学びたい日本人に対しても貴重な教本となったとの事である。また、「ちりめん本」の挿絵は非常に美しく、これは日本の技術が世界に誇る木版画印刷「錦絵」の技法が取り入れられているということである。
いずれにしても1800年代の昔にこのような素晴らしい本が作成され、海外に向けて発信されているということに驚きを隠せない。

回覧された普通の和紙とちりめん処理された和紙サンプルを比較する参加者

回覧されたちりめん本を見る参加者

ちりめん本の挿絵

集合写真1

集合写真2
薮 純夫 記

研究報告会
・日 時: 2025年 7月26日(土) 14:00~16:00

・場 所: カトリック築地教会 2階 ホール

・テーマ: 「築地聖三一教会を中心にした聖公会の伝道と教育」

・講 師: 前田 良彦 氏
     元日本聖公会東京教区司祭
     現在、聖公会歴史資料研究会を主催


定刻となり大島房太郎理事の司会で研究会をスタート。
講演に先立ち当会水野雅生理事長から開会の挨拶、続いて中島耕二理事から築地居留地の成り立ちについて、簡単な解説と本日の講師前田良彦先生の紹介が行われ講演に入った。
<写真クリックで拡大します>   

 水野理事長の挨拶

 中島理事

 前田講師

本日の講師の前田良彦先生は長く聖公会の司祭を務められたことから、ちょうど説教をされるように丁寧かつ聞き手に理解し易い言葉で説明をされたことが印象的であった。
講演のテーマは「築地聖三一教会を中心にした聖公会の伝道と教育」であったが、冒頭先生は「司祭を退任後歴史資料の研究を始めたが、そこで気が付いたことは、各教会で発行している『教会百年史』などを読むと、そのほとんどが教徒への言及がなく、資料の活用に問題があることであった」と話され、講演はその後テーマを越えて歴史資料の扱いを中心に進められていった。
特に、いままで見過ごしてきた資料が、東京都公文書館や国会図書館に眠っているとして、キーワードの入力によって簡単に資料の検索ができるので、是非足を運んで戴きたいと力説された。

 前田講師

 会場風景

後半は村上隆編著『築地居留地の料理人』(清風堂書店、2017)で知ったペリー姉妹の話をされた。
ペリー姉妹は1891(明治24)年頃に自給宣教師として来日し、聖三一教会の貧児救済事業に参加したが、姉のアンは築地居留地5番に住んで聖書研究会を主宰し、また近隣に貧児学校、授産所(段通工場)、救育院などを開き、しかもその活動はすべて自費であったとし、アンを優れた聖公会の伝道と教育の奉仕者と評価して結びとされた。
講演後、聖公会とカトリックとの違いについての質問があり、前田先生から聖公会は歴史上もともとカトリックであり、本質は同じと説明があった。
また日本聖公会は英国系のSPG(高チャーチ)とCMS(低チャーチ)およびアメリカ系の監督教会が合併して成立した教団組織との説明も行われた。
猛暑の中であったが、51名の参加者があり盛会であった。

 配布資料①聖三一教会

 配布資料②聖三一教会

 配布資料③京橋区古地図

 配布資料④聖公会近隣施設図

 配布資料⑤ミス・アン・ペリー

 集合写真
中島 耕二 記

研究報告会 「築地あじさい祭り」
・日 時: 2025年 5月24日(土) 14:00~16:00

・場 所: カトリック築地教会 2階 ホール

・テーマ: 「誤った理解を正してわかるイザベラ・バードの日本の旅・
      旅行記の意義と魅力
      - 居留地・東京やハインリッヒ・シーボルトとの関わりも
        意識して -」

・講 師: 金坂 清則 氏
     京都大学名誉教授、王立地理学協会特別会員、
     王立スコットランド地理学協会特別会員


定刻となり薮純夫事務局長の司会で研究会をスタート。
今回はイザベラ・バード研究の第一人者である金坂清則氏にご講演をいただくことになった。

講演に先立って、本研究会の水野雅生理事長から挨拶と説明があった。
<写真クリックで拡大します>   

水野理事長の挨拶

講師 金坂清則氏


<金坂清則氏提示のスライド資料より>
 
      イザベラ・バード      バードの旅を夫妻で支援した ハリー・パークス公使

 
1878年イザベラ・バードが巡った日本の旅の順路     金坂氏提示のスライド


講演会会場風景

講演中の金坂氏と「シーボルト父子伝
~蒼い目のサムライ」主演の鳳恵弥さん

金坂氏の講演中、要所でイザベラ・バードの
手記を見事に朗読された鳳恵弥さん
 
  写真家でもある金坂氏撮影の集合写真
 (皆さんの表情が豊かです。良いシャッターチャンス!)

イザベラ・バードは1800年中期から世界を旅しそれを旅行記に残している。
1878年には日本も旅行し、しかも東北から北海道での旅行ではアイヌの生活なども詳細な旅行記を残している。外国人の日本国内旅行が自由にできる時代ではなくまた、当時の日本の女性では到底経験しえない旅行であり、彼女のバイタリティは驚愕に値する。
その旅行記を非常に子細に分析された金坂氏の研究も素晴らしく、写真家でもある金坂氏はイザベラ・バードが写真撮影を行った同じ場所から撮影した写真集も刊行されている。
演題の「誤った理解を正してわかる・・・」とある意味が最初は理解できなかったが、金坂氏の講演をお聞きし、それは地理学者である金坂氏でなければ判断できない部分の誤訳が過去の翻訳者の記載に有り、それを細かく分析・訂正されたものが金坂氏の研究成果であることが判った。
今回はイザベラ・バードが東京を訪れた際の築地居留地の公使館や教会、人々の生活など詳細な記録を金坂氏が翻訳されたものを女優の鳳恵弥(おおとり えみ)さんが要所で朗読されるという試みがなされた。この効果は抜群であり参加者は見事な朗読に聞き入っていた。
金坂氏自身も「今までの講演で最も素晴らしい成果であった」と評価されていた。


ハインリッヒ・シーボルトの
子孫である関口忠相氏

金坂氏と女優さん

集合写真 当日は東京建築祭が開催されていたため
チャペル聖堂前での集合写真が撮影できませんでした
薮 純夫 記



 5月24日の研究報告会の様子がベイネットニュースで
 放映されました。


毎年5月に開催されている研究報告会「築地あじさい祭り」の
プロモーション特別番組です。
ベイネットニュースで5月9日に放映されました。

研究報告会
・日 時: 2025年 3月29日(土) 14:00~16:00

・場 所: カトリック築地教会 2階 ホール

・テーマ: 「銀座ハイカラ女性史 新しい女性たちは銀座から誕生した」

・講 師: 野口 孝一 氏
     当研究会理事、中央区立郷土天文館勤務
     東京都文化功労者(2013年)


定刻となり薮純夫事務局長の司会で研究会をスタート。
商家主人、女学校教師、新聞記者、雑誌編集者、美容家、洋裁師、マネキンガール、カフェー女給・・・・銀座という街は、新しい女性たちが切り開いた様々な職業の晴れ舞台だった。
本日は銀座研究の第一人者である当研究会理事の野口孝一氏に当時の新聞・雑誌の情報から「ハイカラ」であった女性たちの波乱万丈な人生の輝きについてご講演をいただいた。

講演に先立って、本研究会の水野雅生理事長から挨拶と説明があり、
続いて山本泰人中央区長から挨拶が有った。
<写真クリックで拡大します>   

水野理事長の挨拶

山本泰人 中央区長の挨拶

講師の野口孝一氏




<野口孝一氏提示のスライド資料より>















野口孝一氏の講演は1800年代から1900年代にかけて銀座という街の文化・風土を作り上げた「ハイカラ」な女性たちのどのような働きがあったかを事細かに、個々の女性の出生から経歴、功績までを知ることが出来るものであり、参加者は非常に興味深く聞いておられたと感じられた。

東京の街と言えば新宿、渋谷、目黒、八重洲、品川、恵比寿、表参道、原宿、丸の内などそれぞれの雰囲気を持っているが、今や高層ビルが競い合って立ち並び、街の景観は大きく変わってきている。
その中でも銀座は最も古くから常に華やいだ印象のある街で、ファッションをはじめ、いわゆる「流行りもの」の原点や発祥の地として他の街とは別格の雰囲気がある。
それらの基となったものを築き、文化として育てあげた女性たちはその時代の中でまさに「ハイカラ」な存在であったのであろう。
講演終了後の質疑応答も熱心に行われた。

講演会会場風景1

講演会会場風景2

集合写真
薮 純夫 記
研究報告会
・日 時: 2025年 1月25日(土) 14:00~16:00

・場 所: カトリック築地教会 2階 ホール

・テーマ: 「万博と赤十字: 日本赤十字社の所蔵資料から辿る
      シーボルト兄弟と赤十字の関係」

・講 師: 大西 智子 氏
     日本赤十字社広報室赤十字情報プラザ参事


定刻となり薮純夫事務局長の司会で研究会をスタート。
時は明治時代、万国博覧会と日本赤十字社、そして当時の日本で大きな活躍を見せたシーボルト兄弟と日本赤十字社の関係について所蔵された貴重且つ膨大な資料を基に日本赤十字社広報室情報プラザ参事の大西智子氏に講演をいただいた。

講演に先立って、本研究会の水野雅生理事長から挨拶と説明があり、
続いて山本泰人中央区長から挨拶があった。
<写真クリックで拡大します>   

水野理事長の挨拶

山本泰人 中央区長の挨拶

講師の大西智子氏

<大西智子氏提示の資料より>

















大西智子氏の講演は非常に興味深く、又分かりやすく、提示していただいた資料も非常に貴重な資料であることが判るものであった。参加者の方々は熱心に聴講されていた。
1800年代から災害時救護の活動を開始されていたこと、そしてその後も救護員養成のために病院を設立され、救護員(看護師)養成も行われていたこと、西洋医学の基礎をいち早く取り入れられていたこと、これらを国際的視野で行われてきた功績は驚愕に値する。
そしてその活動の中でシーボルトの息子、アレクサンダー・シーボルトとハインリッヒ・シーボルトが赤十字の為に大きな活躍を見せていたこと等、本日の講演により様々な事実を知ることが出来た。
講演終了後の質疑応答も予定の時間いっぱいまで熱心に行われた。

講演会会場風景1

講演会会場風景2

集合写真
薮 純夫 記

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