定刻となり藪純夫事務局長の司会で研究会をスタート。
毎年5月の研究会は「あじさい祭り」と銘打ってシーボルトにまつわるテーマで報告会を開催しているが、今年は画家の中村麻美氏をお招きしてお話を戴くこととした。
講演に先立って本研究会水野理事長の挨拶、続いてシーボルト6代目子孫の関口忠相氏および会場を提供戴いたカトリック築地教会レオ・シューマカ神父からそれぞれご挨拶を戴いた。
加えて去る3月に中島耕二理事が教文館から『タムソン書簡集』を出版し、その著書の紹介が行われた。
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司会の藪純夫事務局長 |

シーボルト6代目子孫の関口忠相氏 |

水野理事長と中島理事
(著書出版の紹介) |
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本日の講師の中村麻美氏は、チラシの略歴にもある通り各方面で活躍されており、画業では日本武道館発行の月刊誌『武道』の表紙絵を2008年から描き続けておられ、大型画集の出版もされている。
本日は、多数の作品の中から「次世代に伝えたい日本のこころ」のテーマに沿って22作品を厳選され、それぞれの作品の制作意図および作品の歴史的背景について、詳しい解説を戴いた。教科書などに出てくる話の他に、あまり知られていない歴史逸話の作品もあって興味深く聴き入った。
同氏はテレビ放送でキャスターをされていたことから、話が明快でテンポも良く、さすがプロと感じさせられた。
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講師の中村麻美氏 |

中村麻美氏の自己紹介 |

講演のレジメと熊谷家のこと |
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作品説明 「熊谷五右衛門義比
とシーボルトのピアノ」 |

作品説明 「鉢の木」 |

講演に聞き入る参加者 |
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講演の半ばに「あじさい祭り」のテーマに相応しい、「熊谷五右衛門義比とシーボルトのピアノ」について、熊谷家11代目で熊谷美術館理事長の江口伊織氏から「ピアノ」の由来について解説を戴いた。シーボルトと長州藩萩の豪商の熊谷家とは中々結びつかなかったが、熊谷家4代目の義比が蘭学に関心を寄せ、シーボルトの私塾鳴滝塾長であった岡研介を支援した関係で、シーボルトと知己を得て彼の帰国前(1828年)にピアノを譲り受けたという経緯を教えられ、なるほどと納得がいった。
このシーボルトゆかりのピアノは、1955年の調査で日本最古のピアノであることが立証され、現在も現役としてコンサートで奏でられ200年前の音色で現代人を魅了し続けている。
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江口伊織氏 |

江口伊織氏 |

中村麻美氏 ピアノの説明 |
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中村麻美氏の画集 |
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礼拝堂正面で集合記念写真 |
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こうした説明を聞いて、改めて中村氏の「「熊谷五右衛門義比とシーボルトのピアノ」の作品を観ると、当時の憧憬が浮かんできてより親しみを覚えさせられた。
今回の講演によって「日本最古のピアノ」がシーボルトにつながることを知って、益々シーボルトの日本に残した事績の深さを知らされることになった。講演の終わりに、中村麻美氏および江口伊織氏に参加者から惜しみない拍手が送られた。
従来、例会では講演後旧居留地ミニツアーおよび講演者との懇親茶話会を催していたが、コロナ流行下しばらく中止とし、今回もまだコロナ収束に至っていないことから、これらのプログラムをスキップした。
解散の前に教会堂正面で集合記念写真を撮って、本日の研究報告会を終了とした。
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